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- 上巻 2 持戒波羅蜜 @text:sanboe
- 。山中に至りて、初めより取り集めて、頭(かうべ)を取らむとする九十九の王の中に置きつ。 須陀摩王、涙を落すこと雨の如し。鹿足、問ひて云はく、「何に((「何に」は底本「に」を欠損。文脈により補う。))よりてか、泣くこと童(わらは)の如くなるぞ」と。答へて云はく、「命を惜しむにはあらず、実(まこと)を失しつること... 、『還りて後に与へむ』と云ひつ。図らざりき、心の外に命を失ひて、偽りの罪を成さむとは。これを悲しびて泣くなり」と云ふ。鹿足が云はく、「慇(ねんご)ろに、しか念(おも)はば、七日の暇(いとま)を免さむ」と... を施(ほどこ)して、国を出でて去りなむとす。諸(もろもろ)の臣、力を合はせ、国の民、心を一つにして、涙を垂れて共に白(まう)さく、「願はくは、なほ留まりて国を治め、民を息(いこ)へ給へ。鉄(くろがね)の... リヌ鷹ノ鳥ヲ取ルカ如シ山中ニ至テ 初ヨリ取リ集メテ頭ヲ取ラムトスル九十九ノ王ノ中ニ置キツ須陀摩王涙/n1-13r ヲ落スコト雨ノ如シ鹿足問テ云ク何□因リテカ泣コト童ハノ如クナルソト 答ヘテ
- 上巻 4 精進波羅蜜 @text:sanboe
- 死なむ」と云ふ。 王と后(きさき)と誘(こしら)へ勧むるに、つひに物の食はずして、七日起きず。后、泣きて白(まう)さく、「太子の心動かしがたし。今日、前にして死なむを見むよりは、なほ免してたまさかにも還りもや来ると憑(たの)み待たむ」と云ふ。王、これに随ひて、涙を流して免しつ。 国に一人の翁あり。よく海の道を知れり。年八十に成りて、二つの目、共に盲(めし)ひたり。王、みづから往きて、「太子の供に往け」と語らふ。翁、泣きて白(まう)す、「海に往く者は、全く還ことかたし。この仰せ忍びがたし。死なむ所まで候らはむ」と云ふ... ば、紅の蓮あり。それを過ぎてなほ行き給はば、龍王の宮には至り給ひなむ」と教へて死ぬ。 太子、悲しび泣きて、云ひしがごとく独り行く。蓮(はちす)の所を見れば、青き毒蛇ありて、花の茎を纏(まと)へり。目を