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- 1の21 同じ院雪いとおもしろく降りたりける冬の朝・・・
- ふに、広く開きて候ひつれば、御産成ぬと存じ候ひつる」と申しけり。 そもそも、匡衡四代に当て、中納言匡房((大江匡房))といふ人ありけり。帥(そち)になりては、江帥(がうのそち)と申しける。才智、先祖をつげり。 宇治関白((藤原頼通))、平等院を建立の時、地形の... その便なし。大門の北向きの寺や侍る」と問はせ給ひければ、右府、覚えざるよし、答へ申されけり。ただし、匡房卿、いまだ無官にて江冠者(がうくわんじや)とてありけるを、車の尻に乗せて具せられたりけるを、「彼こそ... 日本には六波羅蜜寺、空也上人の建立、みなこれ北向なり」とぞ申しける。宇治殿、ことに御感ありけり。 江帥は、まためでたき相人なりけり。清隆卿((藤原清隆))、因幡守の時、院の御使として来たれり。帥、持仏堂... と、ただ一こと言はれたりければ、この意見に付きて、渡さるまじきに定まりにけり。 さて、その返牒は、匡房、承りてぞ書かれける。 双魚難達鳳池之浪 扁鵲豈入難林之雲 この句をば、和漢ともに讃め