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- 巻5第4話 一角仙人被負女人従山来王城語 第四
- し気也。女の云く、「未だ習はざる心地に、かかる巌を歩より歩て、足も皆腫(はれ)にたり。亦、還らむ道も思え侍らず」と。聖人、「然らば、山の程は、道の指南(しるべ)をこそは仕侍らめ」と云て、前立て行くを見れば、
- 巻19第10話 春宮蔵人宗正出家語 第十
- き給ふ」と問ければ、入道、「宮より御消息を給はせたれば、和纔(さすが)に此く成たる身なれども、悲しく思え侍る也」とて泣けば、聖人、目を鋺(かなまり)の如く見成して、「春宮の御消息得たる人は仏にやは成る。此く
- 巻4第7話 優婆崛多会波斯匿王妹語 第七
- 然れば、仏の御光は、御坐ぬる所に、七日まで留りて曜(かがやき)し也。此の如の事許なむ、髣(ほのか)に思え侍り。其の外の事は、幼稚なりし時の事なれば、思え侍らず」と。 此の如く語るを聞くに、涙流れて、云はむ方なく悲くて、還り給ひにけりとなむ、語り伝へたるとや。
- 巻27第37話 狐変大椙木被射殺語 第卅七
- にたるにこそ有なれ。此の国に取て、此許の椙の木有とは、何こにてか見たる」と問ければ、従者の男、「更に思え侍らず。其々(そこそこ)にぞ、椙の木一本侍れども、其れは小き木也」と云ければ、中大夫、「然ればよ、既に