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- 巻8第22話(97) 伊勢(歌)
- 撰集抄 ====== 巻8第22話(97) 伊勢(歌) ====== ===== 校訂本文 ===== 昔、伊勢と聞こえし歌詠みの女、世の中過ぎわびて、都にも住み浮かれなんどして、世に経(ふ)べきたづきもなく侍りけるが、太秦(うづまさ)((広隆寺)... るほどに、輿・馬乗りつれて、ゆゆしげなる人の通り侍りけるが、何とか思ひ侍りけん、この堂に入り侍れば、伊勢、すべき方なくて、後ろの方へ行き侍るに、この中のあるじと思しき僧のをびきて、「かやうのこと申すにつけ... ける妻に別れ、「見目(みめ)・形(かたち)あでやかに、心ざまのわりなからん人がな」と思ひけるに、この伊勢を得てければ、心のままにぞ侍りける。 ===== 翻刻 ===== 昔伊勢と聞えし哥読の女世
- 巻1第4話(4) 七条皇后(長歌)
- 侍りけるに、さまをかへ、袂を染め給ふ方も、いまそかりけるなんめり。その中に、かの御所にさぶらひける、伊勢といふ女房のもとへ、人のとぶらひ聞こえ侍りける返事に、 >おきつ波 荒れのみまさる 宮のうちは 年経て住みし 伊勢の海士(あま)も 船流したる 心地して 寄らむ方なく かなしきに 涙の色の くれなゐは われらが中の... こそ、またも見え給はざりけめ」と貴く思え侍り。 さても、往生の素懐をとげ給なば、最初引接の人には、伊勢のみにてこそ侍らめと、すずろにあはれに侍り。 ===== 翻刻 ===== 七条の皇后失させ... しき有様にて侍りけるに様を替 袂を染給ふ方もいまそかりけるなんめり其中に彼御 所に侍らひける伊勢と云女房の許へ人のとふらひ聞侍 りける返事に おきつ波 荒のみ増る 宮のうちは 年
- 巻7第15話(75) 伊勢国尼事
- 撰集抄 ====== 巻7第15話(75) 伊勢国尼事 ====== ===== 校訂本文 ===== 近ごろ、伊勢国に、ある山中に柴の庵(いほり)を結びて、尼の痩せおとろへて、顔よりはじめて、手足まことに汚なき尼の、涙を流して念仏する侍り。 「... めに」と思ひ向け侍らば、などてか、阿弥陀仏、見過ごさせおはしますべき。 「あはれ、いみじく侍りける伊勢の尼の心」と思えて侍りしか。 ===== 翻刻 ===== 近比伊勢国に或山中に柴の庵りを結て尼の やせおとろへてかほより始て手足まことにきたな き尼の泪を流して念仏する侍り深く思入らん人
- 巻1第1話(1) 増賀聖人
- 中堂に千夜こもりて、これを祈り給ひけれども、なほ、まことの心やつきかねて侍りけん、ある時、ただ一人、伊勢大神宮に詣でて、祈請し給ひけるに、夢に見給ふやう、「道心を発(おこ)さんと思はば、この身を身とな思ひ... しかあるに、この増賀上人の、名利の思ひをやがてふり捨て給ひけん、ありがたきには侍らずや。これまた、伊勢大神宮の御助けにあらずは、いかにしてかこの心もつき侍るべきなる。貪痴のむら雲引き覆ひ、名利の常闇(と... ふかくて天台山の根本中堂に千夜籠て是を 祈り給けれとも尚実の心や付兼て侍りけん或時 たた一人伊勢太神宮に詣て祈請し給けるに 夢に見給ふやう道心を発さんと思はは此身を身 とな思そと示現を蒙給
- 巻9第1話(111) 内侍所御事(并鹿島御事)
- 位」は底本「宝佐」で「佐」に「祚歟」と傍書。諸本により訂正。))と仰がれ給へる天子は、かたじけなく、伊勢の大神の御流(ながれ)、藤氏の長者、天下の摂政といつかれ給ふは、春日の明神の御末にいまそかりけり。百... 力王法の王法たる擁護の神力なり一天のある し万乗の宝佐(祚歟)とあふかれ給へる天子は忝く 伊勢の太神の御流藤氏の長者天下の摂政と いつかれ給は春日の明神の御末にいまそかり けり百寮何れか
- 巻7 目録
- 量召仕法師事 吉野庵室 叡山宗順事 大智明神(伯耆太山) 鹿嶋明神事 北国修行時見人助 伊勢国尼事 ===== 翻刻 ===== 帝子値骸骨 経信卿花見(値僧連哥... 鑁事 義量召仕法師事 吉野庵室 叡山宗順事 大智明神(伯耆太山) 鹿嶋明神事 北国修行時見人助 伊勢国尼事/k197r
- 巻8 目録
- 高光卿事(哥) 公任卿事(哥) 素性事(哥) 扇合事(哥) 実方(哥) 忠峯(哥) 伊勢(哥) 躬恒(哥) 花山院(哥) 荻上風句 遍昭(哥) 四条大納言(哥) 行尊(哥) ... 公任卿事(哥) 素性事(哥) 扇合事(哥) 実方(哥)忠峯(哥)伊勢(哥)躬恒(哥)花山院(哥) 荻上風句 遍昭(哥) 四条大納言(哥) 行尊(哥)