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- 巻4 5 伊豆の国三島の社に参りたれば・・・
- とて、ゆゑある女房の、壺装束にて行き帰るが苦しげなるを見るにも、「わればかり物思ふ人にはあらじ((『伊勢物語』27段「わればかり物思ふ人はまたもあらじと思へば水の下にもありけり」))。」とぞ思えし。 月
- 巻4 6 二十日あまりのほどに江の島といふ所へ着きぬ・・・
- もある。))何となく、みな人も静まりぬ。 夜も更けぬれども、はるばるきぬる旅衣(たびごろも)((『伊勢物語』九段「唐衣着つつなれにしつましあればはるばるきぬる旅をしぞ思ふ」。))、思ひ重ぬる苔筵(こけむ
- 巻4 7 明くれば鎌倉へ入るに極楽寺といふ寺へ参りて見れば・・・
- 、簣(あじか)を肘(ひぢ)にかけ、蓑を腰に巻きても、身の果てはありしかども、「わればかり物思ふ((『伊勢物語』27段「わればかり物思ふ人はまたもあらじと思へば水の下にもありけり」。ただし、小野小町とは無関
- 巻3 12 神無月のころになりぬればなべて時雨がちなる空の気色も袖の涙に争ひて・・・
- しんぴつ)の御経の折、面々の姿・捧げ物などまで、数々思ひ出でられて、「うらやましくも返る波かな((『伊勢物語』7段・『後撰和歌集』羇旅「いとどしく過ぎ行く方の恋しきにうらやましくも返る波かな」))」と思ゆ
- 巻4 16 さても隅田川原近きほどにやと思ふも・・・
- など語れば、業平の中将((在原業平。))、都鳥((「都鳥」は底本「宮ことも」。))に言問ひける((『伊勢物語』九段。))も思ひ出でられて、鳥だに見えねば、 尋ね来しかひこそなけれ隅田川住みけん鳥の跡
- 巻1 22 その折りのその暁より日を隔てず心の内はいかにいかにと・・・
- 凡河内躬恒「長しとも思ひぞはてぬ昔より逢ふ人からの秋の夜なれば」))、言葉残りて鳥鳴きにけり((『伊勢物語』22段「秋の夜の千夜を一夜になせりとも言葉残りて鳥や鳴きなむ」))。 「『あらぬさまなる朝帰
- 巻4 4 清見が関を月に越え行くにも・・・
- 島が原に行きつつ、高嶺にはなほ雪深く見ゆれば、五月のころだにも鹿の子斑(まだら)には残りけるに((『伊勢物語』九段による。))と、ことわりに見やらるるにも、跡なき身の思ひぞ、積もるかひなかりける。煙も今は
- 巻4 30 さても思ひかけざりし男山の御ついでは・・・
- なと)に寄る((『後撰和歌集』恋二 式子内親王「影なれて宿る月かな人知れずよるよる騒ぐ袖の湊に」・『伊勢物語』26段「思ほえず袖に涙のさわぐかな唐土舟の寄りしばかりに」。))心地して、「月ばかりこそ夜と見